今作はアクリル画用F3キャンバスにシャトル・アート製の18色を使い制作に当たりました。中心的に使い続けているキャンバスサイズと絵の具なので、終始安定した作品作りでした。フェンス越しに見る森は、過去になりかけています。この作品は僕の住む沖縄がテーマです。近年盛んに開発が進んでいます。破壊されて行く環境を象徴すると共に、沖縄という心を忘れかけている人々に向けた、想いの形でもあります。チャンプルー文化、という言葉が以前にはありました。異なる人種が共存する文化、という意味です。今では死語になっています。ゆいまーる、という言葉も以前にはありました。違った者同士、手と手を繋ぎ合って生きて行きましょう、という方言です。あまり聞かなくなりました。自分のルーツを問い直す作品です。ジャングルは密林の様なものにしたかったので、僕の中ではかなり長い時間をかけて制作に当たりました。技法的には重ね塗りが主です。下地自体はかなり前から完成していました。絵の具を素材からそのまま垂らし、糸状の絵の具を1ヶ月程度乾かして、完全に固まり切るのを待ちました。そこからキャンバスを黒一色に塗り潰し、糸状の絵の具がキャンバスから盛り上がる様を形容しました。モノトーンにする計画だったので、糸状に垂らした絵の具もほぼ黒を使いました。後は天然素材の刷毛を使い、白一色に塗り上げました。フェンスはクローズアップしたものにしたかったので、最後の仕上げに少し手を加えただけです。