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【INTERVIEW】美人画を通じ、人間の生命力を描き出す:蟷螂子

2024/04/25
TRiCERA ART TRiCERA ART

唇を引き結び、バナナを拳銃のように構える女性。イエロー、ブラック、ホワイトのシンプルなカラーが作品の力強さを引き立たせています。


banana
《banana》(2024)

『美人画の再構築』を目指す蟷螂子。本作は、100人10 2023/2024での入選作です。
展示開催時から注目を浴び、抽選販売には100人を超す応募が集まりました。

9s Galleryでは、井上魁をはじめとした100人10で注目を集めた新進気鋭のアーティスト5名のグループ展“UPDRAFT” Rising Artists from 100人10 2023/24を2024年5月18日(土)~6月1日(土) にかけて開催します。

本記事では、蟷螂子の新作シリーズ《SAITA》を中心にしたインタビューを公開いたします。


『美人画の再構築』に挑む現代アーティスト。女性を通じて人間の生命力を描き出す。

2021年より作家活動を開始する。その後わずか2年で台湾・釜山など海外アートフェアに多数出展し、人気を博した。2023年8月には大丸・松坂屋が経営するギャラリーGINZA SIX Artglorieux Galleryにて、草間彌生らとともにグループ展に参加するなど、現代アート界からの期待も高い。

さらに、同月TRiCERAで実施した個展「Do girls dream of Electric City?」では出品作7点、12月開催の「Christmas Miracle」展では2点、2024年1月開催の「27」展では9点がそれぞれ全点完売。

垣根のないアートコンペ・100人10で得られたもの



KAIKA_14
《KAIKA #14》


-今回のグループ展は、TRiCERAが運営するアートコンペティション100人10 2023/2024の入選アーティストが集まって開催される展示です。蟷螂子さんは今回初出品されましたが、参加されてのご感想はありますか?


個人的に、100人10 2023/2024では、アーティストとしてこれまでにない経験をいくつもしました。

まず、展示初日にメディアからの取材に取り上げていただいたこともあって、より多くの人から感想をいただけたのは刺激的でした。

また、今回は応募者も作品選考に参加するという形式だったので、800点近くのさまざまなジャンル・テーマの作品に触れられたことも印象的でしたね。アーティスト自身の国籍や年代、性別もバラバラで、いい意味での垣根の無さを感じました。

実際の会場で、たくさんの選出作品の中にある自分の作品を目にした際も、いつもより一歩引いた、客観的な視点で見れた気がします。

オープニングパーティーでは、アーティストやコレクターの方々とお話ししていたのですが、作品そのものに注目するのはコレクターの方々で、アーティスト同士は技法や作品全体のコンセプトについての話題が多かったのが印象的でした。

話していく中で、改めて作品の言語化の重要性も感じました。
作品自体の絵画としての強さはもちろん必要ですが、コンセプトやタイトルを練れば、より鑑賞者にとってのフックを作れるということを実感して。
もちろん説明しすぎてしまってもいけないので、塩梅は難しいですが。


進化する《KAIKA》シリーズ


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《KAIKA #13》


-今回のグループ展では3点の新作原画をご出品いただきます。中でも、《KAIKA》シリーズは「縛られない女性美」をテーマに3月ごろから制作を始められたシリーズですが、描き続ける中で変化した点はありますか?



見た目からはわかりにくいかもしれませんが、少しずつ作品の中での偶発性を強めていっています。具体的には、花弁から垂れている絵具部分ですね。

当初は、垂らす位置を事前に設定してキャンバス上に印をつけ、そこから垂らしていたのですが、最近では垂らす場所を制作時に即席で決めるようになりました。

そうすることで、思わぬところに絵の具が垂れていき、「花」が持つ、有機的でコントロール不可能な美しさを表現できるようになってきました。《KAIKA》シリーズが目指している、「ただ存在することの美しさ」というテーマにも近づけている気がします。


《SAITA》シリーズで描かれる人間の生命力


-新しいシリーズ作品、《SAITA》の2作目も今回発表されるとのことですが、まずは《SAITA》シリーズについて詳しく教えていただけますか?

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《in Tokyo #4 SAITA》

《SAITA》シリーズはこれまで手掛けてきた《City》シリーズと《KAIKA》シリーズのコンセプトをミックスした作品です。

《City》 シリーズでは、巨大な都市の一部として組み込まれつつ、それでも強く生きていく女性をテーマにしました。
次に、《KAIKA》では、花のように作為の無い美しさを持つ女性を描いています。
そこで、《SAITA》では、都市に飲み込まれずにしっかりと自我を持ち、さらに《KAIKA》で描いたようなあるがままの美を持つ女性を表現することに挑戦しました。

都市に埋もれない存在という点を強調したくて、背景に対して女性は大きく、さらにアスファルトを突き破って生えている花をイメージしたポーズで描きました。
動きのあるポーズにすることで、女性の有機的なラインを強調し、無機質な都市との対比も際立つのではないかという狙いもありますね。


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《in Tokyo #5 SAITA》


-今回ご出品いただく2作品目は背景が丸の内ですが、この場所を選んだ理由はありますか?

自分自身が今まで仕事で訪れる経験があったからという理由が大きいです。

《City》シリーズを描き始めて、都市という価値観に人が飲み込まれ、都市という存在そのものがキャラクターを演じ始めるというイメージを持つようになりました。

特に丸の内という日本有数のオフィス街では、「丸の内で働く」ということに誇りを持つ人も多いですが、同時にそこで働き続けると消耗も大きい街です。
装置の部品が摩耗するような面が強く表れている土地ではないでしょうか。
そうした土地をあえてモチーフにすることで、都市に呑み込まれない人間の生命力の強さを表現したいと考えて、丸の内を選びました。


-これまでの作品制作を経てコンセプトを深めていっている様が窺えます。

自分の作品を描き続けるとともに、100人10 2023/2024のように大勢の作品とともに展示される機会を持つことが、思索を深める良い刺激になっていると思っています。
今回のグループ展でもまた新たな出会いがあれば嬉しいですね。


開催概要

https://www.tricera.net/ja/artclip/blog975
“UPDRAFT” Rising Artist from 100人10 2023/24
開催日程:2024/5/18(土)から 2024/6/1(土)
営業時間: 12:00 〜 19:00
※ オープニングパーティー(招待制):5/17(金)
※ 最終日 18:00 CLOSE
※ 休館日:日曜日、月曜日

会場:9s Gallery by TRiCERA
〒106-0031 東京都港区西麻布4-2-4 The Wall 3F
アクセス:東京メトロ日比谷線 六本木駅 徒歩10分・広尾駅 徒歩10分
東京メトロ千代田線 乃木坂駅 徒歩10分
連絡先:​​03-5422-8370

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本展に関するお問い合わせはこちら





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著者

TRiCERA ART

現代アートの歴史・楽しみ方・各アートジャンルの解説など、役に立つ情報を芸術大学卒業のキュレーターが執筆しています。TRiCERA ARTは世界126カ国の現代アートを掲載しているマーケットプレイスです。トップページはこちら→https://www.tricera.net