アクリル画用のF20キャンバスにリキテックス製のプライマリーブルー・チタニウムホワイト、シャトル・アート製の数色を混合して制作に当たりました。色が濁りにくく、鮮やかで理想的な色彩を表現できたと思います。この作品は特異点というテーマです。度々この放射する構図を描いて来ました。自分自身が求める絵と言うか、誰の為でもないと言うか、たまに自分が見たい景色を、見て下さる方に提供してしまう所があります。作品に対して、自己表現は避けて通れない道です。僕自身がこんな風に、真っ直ぐに突き進んで行きたい、という願望の表れだと思います。知らない所まで行きたい、という意味を持つ作品です。技法的には単純ながら勘の要る作業になります。先ずは部分的に置きたい色をキャンバスにそのまま乗せて行きます。大体の見取り図が出来れば、後はなるべく太い筆を使って、放射状に色をなぞって行けばいいだけです。肝心なのは筆を使い分けない所です。ひとつの筆だけを完成まで使い続けます。放射状の波形をなぞって行くと筆の中で色の混合が始まります。この筆の中で起きる混合が鮮やかで微妙なグラデーションの源です。色が濁ってしまう事を恐れずに塗り続けます。今回はF20キャンバスを使用するので、なるべく絵の具が含まれる様に、かなり太い筆を新調しました。僕はそれ程高度な技法を使いません。単純だからこそ難しい技法をいつも実践しています。