この作品は、金沢八景の「野島遊覧」の八景をモチーフに、横浜市金沢区の平潟湾と背景の野島を描いています。その場所で感じたイメージを、簡略化した形や色、絵具の質感に置き換えてキャンバスに配置しました。画面上に配置された部品は、見る人が名前を認識できないように簡略化されています。絵画から名前をなくすことで物語を失い、絵画の構造に意識を誘導することを目的としています。私が絵画を制作する際に参考にしているのは、モダンアート以降の西洋の絵画手法です。絵画の伝統に基づいて、現代の感覚や経験を絵画に反映させることを目的としています。キャンバスにはアクリル絵の具を使用しています。アクリル絵の具を使う理由は、比較的耐久性があることと、様々なメディアが開発されているので、様々な質感を表現することができ、画面の制作の自由度が高いからです。適切な環境で展示・保管されていれば、通常のアクリル絵の具で描いた作品と同等の耐久性があります。一つ一つのパーツを丁寧に考えて描いているので、制作期間は約3週間です。キャンバスの裏には、サイン、制作年、タイトルが書かれています。