Rec-1

コンセプト

自然科学や１９～２０世紀の抽象作品に影響を受け、幼少期から平面絵画に対して熱心でした。文字の起源や記号にも関心があり、日本のレタリング文化をドローイング作品の中に反映させています。
アートの多様性がますます広まる中ドローイングという手法に私が執着している事には理由があり、グラフィックデザイナーである母の影響だと考えています。私は常に平面構成や文字が目に入る事務所で子供時代の大半を過ごしていました。事務所は画材、資料の図鑑や書籍にあふれていたので絵に興味を持つ事に容易い環境でした。事務所中のミスプリントをかき集めて落書きに明け暮れる日々。今でもそれがやめられずにいるというのが私の制作の実態です。
母は手描きからデジタルへと広告デザインが切り替わってもアナログの手法を自らの仕事に取り入れ続けていました。「デジタルの発達に伴ってより作業は簡単になるだろう。ただ機械を操作できるようになるだけではいずれ淘汰される。だからこそ模倣の難しい手描きの作業を無くさない。」と母は良く私に言っていました。時代の移り変わりとともに古典的な手法が風化するとは私も思えません。直接技法、プリミティブなドローイングの普遍性をこの先も制作を通して探っていきたい。