Layers of Color series = non figurative, spontaneous, phenomenal paintings
現象的絵画の「Layers of Color」シリーズから。2018年制作の2作目、シリーズ累計33作目になります。同じく公開販売中の「2003」「2004」と同サイズの菱形作品です。明確なテーマも、メッセージも、モチーフも、プランも無いところから、アクリル絵具の積層と研削によって、完成と思われる画面を(向きも含めて)決定するというのが、本シリーズの基本的手法です。菱形矩形の絵画自体は、絵画史的には特別目新しい試みではないことも自覚しています。しかしながら、通常の矩形で完成の向きをジャッジしてきた自分にとっては、新鮮な感触があり絵画的にもっとも豊かだと感じた画面だったので、本作はこの向きになりました。本作「1802」はS15の正方形キャンバスを使用しています。対象物がない画面ですが、色イメージとしては、古い日本の風景画のような深い緑をベースにしてレイヤー構成しています。本シリーズの制作動機は、「絵画にしかできないこと」を私なりに追求してみる良いやり方だと思ったからです。支持体上に絵具によってしか存在し得ない光景。物理的な結晶としての絵画。そんな作品をを見てみたいという私の欲求の産物と言えます。キャンバスは表裏両面に入念な地塗りによるプレパレーションの後、一旦仮板の上に張ります。画面側に部分、ベタ合わせて20層以上の描写としての塗りを重ねます。そして、水をかけながら耐水サンドペーパーで研削しながら画面を造っていきます。仮板の上で制作し、完成後は清掃乾燥させてから木枠に張って完成となります。画面は、削り出しているため平滑で、ふきんなどで拭き掃除もできます。絵画の特性の一つ、「重層的なマジック」を活かしきること。制作を志した頃からの、私の欲求に沿ったやり方を1999年に見つけました。以来、「アクリル絵具の積層と研削」という一貫した技法・マチエールでペインティングの可能性を追求しています。