私はボールペンを使って絵を描いています。ボールペンの線は消すことやぼかすことができません。それ故に、緊張感のある線が生まれます。線一本一本は方向性を持ち、静止した画面に蠢くエネルギーを内在させます。それらを積み重ねることで、絵に生命を吹き込みたいと考えています。 私の線画は、油絵画家のように幾重にも線の層を重ねます。ペン先のボールの回転によってあらゆる方向に走らせることができる線、目に見えない引っ掻き傷、微かに色味の異なる水性・油性ボールペンの併用によって、厚みを持たないはずの画面に独特なレイヤーが生まれます。 私のこの表現スタイルは、墨絵や戯画・漫画の歴史や文化を持つ日本人元来の感覚と、美大で西洋画を学んだ経験によるハイブリッドなものではないかと思っています。
©copyrights 2019 Tricera. All copyright Reserved.