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  • CURATOR’s EYE

内容と画法で目を引く作品

2019/09/13
Shinzo Okuoka
Maria Farrar “Too late to turn back now” OTA FINE ARTS Installation view of “Too late to turn back now” (2019) by Maria Farrar at OTA FINE ARTS Courtesy of the artist and OTA FINE ARTS  新進気鋭の若手アーティスト、マリア・ファーラーがアジアでの初個展「Too late to turn back now」をOTA FINE ARTSで開催します。マリア・ファラーは1988年にフィリピンで生まれ、15歳まで下関で育ったロンドン在住のアーティストです。 ファラーの作品は、彼女の日常の記憶や経験、感情などから導き出された情景をベースにしています。ありきたりなテーマではありますが、彼女の独特の色彩やモチーフへの触れ方が私たちの目を引きます。 女性の背中、犬、ハイヒールの靴、パン屋さんの風景などがよく登場します。これらのモチーフは繰り返し出てくるので、観客は彼女の作品を解釈しようとする傾向があります。観客は、彼女のモチーフには社会問題などの強いメッセージが込められているのではないかと推測してしまいます。作家が意図していたかどうかは別にして、彼女の作品は様々な可能性を与えてくれます。彼女の作品は、どちらかというと、捉えた瞬間の表現方法に焦点を当てているような気がします。 Maria Farrar, Writer, 2019, oil on linen, 180 x 130 cm Courtesy of the artist, mother’s tankstation Dublin | London and Ota Fine Arts, Tokyo / Singapore / Shanghai ファーラーの作品の魅力は、それぞれの作品にストーリー性のある作品として風景を描くことで、私たちの好奇心を刺激することにある。しかし、彼女の絵画技法に目を向ければ、内容やテーマと同じくらい魅力的な要素もある。作家」の下の方には、アウトラインが顕著に現れています。ファラーは、アジアの伝統的な絵画からマンガ、アニメに至るまで、アジアでよく見られる画法のように、靴をアウトラインで描いている。また、床や子犬の描写に使われている筆遣いは、書道のようでもあります。 彼女の作品は、私たちに内容や技法を考えさせ、作品の前にいる時間を長くさせてくれます。上述のように、一見すると「ジェンダーの問題を語ろうとしているのではないか」と思われるかもしれませんが、それ以上に、ファラーの象徴や風景、記憶などの好みから生まれた作品なので、理解するには鑑賞の時間が必要です。また、東洋画と西洋画を融合させたような画法は、鑑賞者を長く作品の前に留まらせています。 Installation view of “Too late to turn back now” (2019) by Maria Farrar at OTA FINE ARTS Courtesy of the artist and OTA FINE ARTS Installation view of “Too late to turn back now” (2019) by Maria Farrar at OTA FINE ARTS Courtesy of the artist and OTA FINE ARTS 鮮やかな色調のバラエティに富んだ作品も多く、「色のぶつかり合いで、集まった作品は絶対に合わないだろう」という偏見を持たれがちだが、プロの画家である彼女は、その偏見を打ち破る。 しかし、ファラーはプロの画家なので、その偏見を打ち破る。鮮やかな色彩を多用していても、ギャラリーに入った瞬間の印象は、思っていたものとは違うかもしれません。それを直に感じたい方は、8月24日から9月21日までOTA FINE ARTSで開催されている「OTA FINE ARTS 展」に足を運んでみてはいかがでしょうか。また、今回の展覧会では最新作も展示されています。 Maria Farrar “Too late to turn back now” OTA FINE ARTS O DATES : 2019年8月24日(土)~9月21日(日) 営業時間 : 午前11時~午後7時 日曜・祝日は休館。 入場無料。 記事を書いた人:Jeongeun Jo 韓国出身、日本在住。東京藝術大学大学院美術研究科を卒業したTRiCERAのメンバーの一人。彼女自身もアーティストとして活動している。

著者

Shinzo Okuoka