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  • EXHIBITION

Quick Insight Vol.11無気力な少女たちを通して、現実における既存の意味をリセットしていく日本人アーティストmamoruが描く、物憂げな並行世界。

2021/08/26
Soichiro Masuda
mamoruは無気力な少女たちを中心に、日常的でありながらどこかズレたシチュエーションをキッチュに描く。イメージを補足するように登場する言葉たちは、それ自体にメッセージ性はなく、無意義なフレーズもしくは画面を構成するための記号である。彼の作品に登場する無気力さや、無意義さなどは既存の価値を無視あるいは、リセットしようとしているようだ。 今回は、意味、価値、結果、理論などが求められる現代において、そうした社会的な有意義性からエスケープする彼の自由な視点とそのさきに広がるもう一つの世界に迫る。 制作を始めたきっかけはなんでしょうか。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、緊急事態宣言やロックダウンがあり、家にいる時間が多くなりました。その時に家にいてやる事がなくて、いっちょ久しぶりに絵でも描いてみるかという事で始めました。 もともと美大に通っていたので絵は描いていました。 そもそも、美大に入ったきっかけも、絵を描くのが好きだったからです。でも、もとは大学に行こうとはおもってなかったんですよ。高校受験も推薦で入ったし、初めは大学に行こうなんて考えもしなかった。でも、美大は国語、英語と実技だけでいけるって知って、その時社会にまだ出たくないという思もあって、美大を受験したんです。 美大を卒業してからはCM制作会社に入社しました。私が就活をしたのは3/11があった年だったので、就職には苦労しました。結局、夏頃動き始めて3年間働き、その後、芸能事務所のマネージャーに転職して、今は、大阪で結婚指輪を作っています。 イラストを描き始めてからは、いくつかイラスト制作の依頼もあり、それらを断らずに制作してきた結果、法人の依頼を受けて、仕事が広がるきっかけにもなりました。そういった中で、海外からのお問い合わせもあって、TRiCERAに参加しました。 物作りをしたり、絵を描いたり、何かを生み出すというのが好きだからというのもあるけど、 承認欲求が高いように感じていて、インスタをやってるのですが、そこにイラストを投稿すると、いいねとかをもらえるんですね。それはわかりやすく、他人からいい評価をもらえてるという実感につながるんです。 現在の制作のテーマについて教えてください。 女の子を描いていくという事がテーマになっています。ぼーっとしていて、なんとなくクスっとしてしまうような女の子。ただ、表情を描く事が苦手だし、伝えたい事や強いメッセージが自分の中にあるわけでもないんですよね。だから、感情を強く表現するといういうよりはあえて無表情にしてる。見た人の想像をかきたてるように。

《dechi, H 30cm x W 30cm x D 3.7cm, Canvas Print, 2021》

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かわいい女性というアイコニックなモチーフについて、なぜ「無気力」な女性を描くのでしょうか さっきも少し話しましたが、大元は描けないからですね。笑顔を描くのは難しく感じます。本当は笑顔はしわがよったりするけれども、イラストでリアルに表現をしようとすると、うまく描けない。ちょっと気持ちわるくなったりするんです。だから、表情やそういったものがないということを一つの方向性としてやっていくことにしました。

《Floating, H 30cm x W 30cm x D 3.7cm, Canvas Print, 2021》

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日常的な設定ながら、少し視点をずらしたような設定を描いているものが多いように思いますが、シーンの設定についてこだわりや意図があるでしょうか。 やっぱり、見てる人が面白いなと思うことが大事だと考えています。そのために、色々な資料を集めながらやっています。ポーズとか服装とか、髪型とか。そういったものを見ている中で、このイメージにマヨネーズを足したらおもしろいかもとか、いろんなアイデアを出していくんです。 あとは、インスタグラムでハッシュタグを調べたりもしますし、それを利用したりもします。誰も使ってないハッシュタグを使ったり、フォロワーさんが違うハッシュタグをコメントしてくれたりすることもあります。 例えば、《mayonnaise forever》(2021)という作品は、「ずっと真夜中でいいのに。」というアーティストがいるのですが、それを略して「ずとまよ」というらしいんです。 こうしたパロディー的なところが僕の作品にはあって、インスタに投稿した《The fast food》という作品は、最近 Youtubeなどでよくある「The first take」をもじっていたりします。

《mayonnaise forever, H 30cm x W 30cm x D 3.7cm, Canvas Print,2021》

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《The Fast Food, H 30cm x W 30cm x D 3.7cm, Canvas Print, 2021》

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日本語のモチーフ(時にはローマ字表記)が作品に登場しますが、日本語をイメージの世界に持ち込むことについてどのような意味を見出していますか。 日常の中にある出来事を、あえてローマ字で描く事で考えさせるものにすることができると思っています。例えば、《no fire》(2021)はタバコ吸う時に火がないという切ない思いを表している作品なんですが、この作品の中には、「HI-GA-NAI」という言葉が書かれています。タイトルを知っていると「火がない」ってすぐにわかるけど、そうじゃないと一瞬考えますよね。それでイメージをみて女の子がタバコを加えてるけど、煙が出てないからとか、タイトルをみて意味に気が付く。この過程で、考えさせるっていうことが大切だと思っているんです。 あと、これまでの質問にも関わることですが、日常にありそう、だけどないみたいなことを大切にしています。あえて、表情を描かない事で、キャラクターの感情を想像させたりする。そういう時、人は自分の経験の中に答えを見つけようとするので、ある意味でそこに共感の余地が生まれると思うんです。笑ってる人には楽しい思いしか見えないけれど、無気力で無表情なイメージはどのようにでも解釈できる。 言葉や作品も同じで、そこに素材や、シチュエーションは用意するが、こちらが正解を用意するのではなくて、捉える人に考えさせる。そして、彼らが見出した感情や解釈が正解だと考えているんです。

《no fire,H 30cm x W 30cm x D 3.7cm,Canvas Print,2021》

最後に、次に実現したいと思っている作品のアイデアがあれば教えてください。 これまでいろんなイラストをあげてきて、1万いいねをもらったり、フォロワーも1週間で700人くらい伸びたんですよ。だからというわけではないですが、人に楽しんでもらう為にやり続けていくというのが1番のチャレンジなんじゃないかと思っています。
コンセプト
無気力で可愛い女の子を描いています。
経歴
ムサビ卒です。
今回ご紹介の作品は全てTRiCERAで取り扱いしております。

著者

Soichiro Masuda