一見、伝統的な母子像のように見えますが、その関係性は不明です。見る人によって、またその時々によって関係性が変わるように描いています。温かいのか冷たいのか、怖いのか嬉しいのか、意味があるのかないのか......すべてを含んだ作品ですが、もちろん最終的な判断は見る人に委ねられています。世の中には様々なものや相反するものが混沌として存在していますが、それを人間がどう判断するかを絵の中で問う作品です。キャンバスの描かれていない部分は、禅的な想像力の領域であり、表現から現実への橋渡しをしています。そこでは、描かれているものを超えた広大な世界を予測することができます。絵画はそれ自体が独立した美しさを持っていますが、このような広がりを生み出すきっかけとして存在しているとも言えます。