意識的な形と無意識のイメージを共存させることで、「感じる・想像する」という曖昧で鮮明な感覚を揺さぶる作品を制作しています。作品は中に人がいるという想定のもとで、部分的に彫り上げたり途中段階で手を止めています。仕上げた部分と不明な部分を行き来することで、見えない人物を想起させたいと思います。作品イメージの根元にはファッションデザインがあります。姉が服飾学生だったため思春期の頃にファッション雑誌が身近にありました。ランウェイを歩くモデルの姿はシンメトリーであり、顔や体はしばしば服で覆われ変形しています。それでも歩くために足は出ており、中に人がいるのだろうという想像が、思春期の僕には強烈でした。木の塊から人物を彫り起こす行為と、服を纏っている人物という構造は、僕にとって自然な結びつきでした。