Hiroshi Kaneyasuは漆をメインに用いた若手造形作家のひとり。漆とは日本において古来より使用されてきた天然の樹脂塗料であり、その接着性の強さから接着剤としても使われてきた。とはいえ合成の樹脂や塗料などが登場した近代以降においては冷遇を受けてきた漆だが、Kaneyasuはあえて漆を用いた造形作品を制作し、合成樹脂などによって利便性の向上した近代以降に生まれた固定観念などを見直し、かつその更新を試みる。「モダニズム的な思考やムーブメントは意識する」というKaneyasuの作品は、新たな漆造形作品であると同時に、漆を通して歴史を問い直す思考のかたまりと言えるかもしれない。