私は幼い時から絵を描くことが好きな子供でした。白い画用紙に自分の世界を思う存分表現できること、そしてそれを他の人に見せることは私の大きな喜びでした。いつも純粋美術と画家たちに憧れていた私は芸術高校の洋画科に進学しました。洋画科では油絵作品の製作、デッサン、水彩画など様々な勉強をしました。しかし、その中で私に一番大きい影響を与えたのは特別授業だった版画授業でした。 版画は今までの絵を描く方法とはっきり違いました。直接筆でカンバスに絵を描いて行く絵画とは異なり、版画は「版」という中間媒体にイメージを刻んで紙に写します。私は「版」のこのような間接的な特性と、筆と鉛筆では得られない版画だけの表現に嵌ってしまいました。この授業をきっかけに版画科に進学しようと決心しました。そして希望していた弘益大学版画科に進学しました。 大学に進学後、木版画の他にも銅版画、リトグラフ、シルクスクリーンなど様々な版画技法を学びました。私は多くの版画の技法の中で銅版画が一番魅力的でした。銅版画の繊細な描写と表現は細密な表現を好む私にとって一番合いました。また、銅版画だけが持っている独特な雰囲気は私の作品制作に多くの影響を与えました。私は学部3年生から現在まで銅版画による作品世界の表現に集中しています。 日本の留学を決めた理由も版画です。 モダニズム美術の始まりである印象派の美術は美術史の流れを変えた大きな変革でした。そしてこのような印象派作家たちに影響を与えたのはジャポニスムで呼ばれる日本の「浮世絵」版画でした。版画を専攻している学生として、「どのように版画というジャンルの美術が美術史のパラダイムを変えることができたか」に対する驚きは、日本の版画に対する興味でつながりました。 私は現在、日本の東京藝大版画研究室で作品制作に集中しています。また日本国内で展示と展覧会に参加しながら、作品活動をしています。
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