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アートの価値はどうやって決まる?価格と価値は違う?徹底解説!

2023/05/17
TRiCERA ART TRiCERA ART

アートオークションで度々話題になる、何億円という超高額の値段。
日々大きな額が取引されているアート・ワールドですが、作品の価格はどのように決められているのでしょうか?
また、「価格」と「価値」はアート作品において同じものなのでしょうか?
今回はアート界の中での価格と価値の概念を解説していきます。


アートの「お値段」は相対的・流動的に決まっていく

アート作品の「一点もの」性

村上隆や草間彌生、KAWSやリヒターといった超有名アーティストの作品は、有名だからこそ欲しいと思うコレクターがたくさんいます。
アート作品は値段をつけて売買されるものですが、他のものと全く異なるのは全てが「一点もの」であるという点です。
一点もので、需要が高い。こうなると、価格は上がらざるを得ません。

人気・知名度・歴史的評価

もちろん、作品を作ること自体にコストがかかるので、作品が最初に出る市場である「一次流通市場」では制作コストと人気度合いを考慮してその値段が決まります。
しかし、作品は最初に手にした所有者の手を離れてオークションなどの「二次流通市場」で価格が付くこともしばしばです。ここでは、一次流通の価格からは離れて、人気や知名度、歴史的な評価に基づいて値段が変わっていきます。
価格を決定するそれぞれの変項を完璧に予測するのは大変難しく、一握りのギャラリスト・コレクター・ディーラーなどの存在によって容易に変動し得る可能性があります。
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名もなき実昌《低画質地獄 熊本ver.》


アートの値段は労働の対価ではない

段ボールが数十万円に?

例えば、ラップトップの値段は、それが工業製品である以上材料原価、人件費、流通コストなどを計算した結果として販売価格が決まります。世の中で販売されているほとんどのものが、提供までに要する様々なコストを考慮した上で売主の利益なども加味したものとして価格が提示されます。
しかし、アート作品の場合はそのようなシステムとは全く関わりがないといってよいものです。
極端な例を言えば、段ボールに描かれた原価10円(絵の具代を含めれば…)だとしても、数十万円、時には数百万円でも売れることがあり得るのです
(現・東京教芸術大学美術学部長の日比野克彦氏の作品など)
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日比野克彦《LIFE》

「価値」と「価格」の違いとは

では、人々は何に「価値」を見出してそれほどの「価格」を払っているのでしょうか?
それはもちろん個々人によって大き変わってはきますが、大きな共通点はおそらく「自身の美的感覚・人生観に共鳴するかどうか」という点があるのではないでしょうか。
例えば、国内の代表的なギャラリーを経営する三潴末雄(みづま・すえお)氏(ミヅマアートギャラリー)は、2017年のインタビューで以下のように語っています。

「キャンバスにすっと一本の線を引いただけで、ものすごい価値を持つことがある。経済合理性では測れないのです。

世間が評価しないことに不安にならないかって? 逆ですよ、それは。「俺がいいって言ってるのにわかんないんだな、みんな節穴だな」と思うわけ。その確信がなければギャラリストはできません。」



「歴史に残るかどうか」が判断基準

美術館の中の人は何を考えているのか

少し視点を変えて、美術館の中で作品コレクションを担当している学芸員の方は何を考えているのか覗いてみましょう。
同じく2017年のインタビューで、当時東京国立近代美術館学芸員(現在は滋賀県立美術館ディレクター)の保坂健二郎氏は「歴史に残るかどうか」が判断基準だといいます。
例えばパウル・クレーという19 - 20世紀にスイス及びドイツで活躍した画家の作品は、2億5千万円で購入したといいます。しかし、クレーの歴史的評価や作品の完成度の高さを考えると、むしろ安い買い物だったと言えると保坂氏は語っています。
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パウル・クレー《破壊されるまち》
それに対して、日本のアートシーンで存在感を放ち続けるChim↑Pomの《気合い100連発》(2011年に福島県の被災地域で撮影された映像作品)を購入する際は、価格としてはクレーの何千分の一というものではありつつも、クレーを買う時よりも「気合い」を要したと話しています。
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Chim↑Pom《気合い100連発》
それは、問題は値段ではなく「その作品は本当に美術館に入るべき(=美術史に残るべき)作品なのかどうか?」という観点での判断が必要になってくるからです。

国際現代美術展というものの存在「価値」

このような視点は、岡山芸術交流を主催する石川文化振興財団理事長の石川康晴氏にも共通する視点です。
石川氏は、初めてコレクションしたのは国際的に高い評価を受ける現代美術作家・河原温の作品だったといいます。世界中のコレクターが欲しがる河原の作品を、日本人の旧所有者が手放す際に買い手を探していたといいます。石川氏の知人のギャラリストから「これほどの作品が国外に出ていくことは大変な損失だ。もし現代アートが好きで、コレクターとしての第一歩を踏み出すならば、最初にこれを買うことをおすすめします」と提案されたことから、日本出身の優れた歴史的アーティストを日本に残すために、石川氏はコレクションを決意しました。
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河原温《Mar. 11, 1967》
また、先ほど言及した岡山芸術交流も、かなり現代アートのハードコアなコンセプチュアルアート展となっています。3年ごとに開催されるこの国際現代美術展では、展示される作品の多くが普通の意味で「買う」ことが困難なものが多いのが一つの特徴です。
ここで石川氏が目指しているのは、作品を直接売り上げることによる経済活動ではなく、純粋な芸術活動をサポートし、この国際展のようなイベントを持続させることでより広範で波及的な経済効果ということになります。
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プレシャス・オコヨモン《太陽が私に気づくまで私の小さな尻尾に触れている》
上述のように、「価値」は個々人により様々なものがあり得るのが芸術作品の最大の特徴です。
だからこそ大きな「価格」を生み出すものもあり、価格は生み出さないながらも価値を認められるということもあり得るということになります。
アート界で活動する多くのプレイヤー(アーティスト、ギャラリスト、コレクター、ディーラー、キュレーター等)が「価値」と「価格」の問題について常に考えています。
ソース



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現代アートの歴史・楽しみ方・各アートジャンルの解説など、役に立つ情報を芸術大学卒業のキュレーターが執筆しています。TRiCERA ARTは世界126カ国の現代アートを掲載しているマーケットプレイスです。トップページはこちら→https://www.tricera.net